「なぜ人口減少が問題なのか」(審査委員応援メッセージ)

みなさん、こんにちは。

審査委員の千葉大学国際教養学部・田島翔太です。

さて、何回かに分けて、私から地方創生とSDGsについてお話します。

今日は「なぜ人口減少が問題なのか」について、改めて解説したいと思います。

日本の人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じました。

現在は、2020年10月1日の概算値で、1億2,588万人です。

そもそも、なぜ人口減少が問題なのでしょうか?

日本の人口は戦後、急速に増加しました。高度経済成長です。

私たちの住んでいる社会や都市構造は、この高度経済成長期に形作られました。

例えば、人口増加で家が足りなかった時代に作られた郊外の団地群。戦後の住宅需要に応えるための植林・植樹。

どちらも令和の時代になって、団地の高齢化、森林の荒廃といった課題を抱えています。

そのほかにも、高速道路や水道等の社会インフラの老朽化・維持の問題、社会保障の問題、働き方改革等、人口が増えていた時代に当たり前に必要だったものが、人口減少の時代になって様々な課題として顕在化してきました(もちろん、前から指摘されていたのですが)。

そして、問題なのは、今後の見通しです。

このまま何もしないと、2060年には日本の総人口は9,000万人を割る推計も出てきています。2020年の3/4になるということですね。

人口が3/4になるということは、税金も減ります。仕事も減ります。少ないお金、人、仕事で社会を保たなければなりません。

「いやいや、AIやロボットが発達するから、大丈夫。」

そう思う人もいますね。しかし、全ての業種がそうなるでしょうか。

人が住んでいる以上、都会でも地方でも、道路や水、電気を維持しなければなりません。学校、病院、警察署も必要です。人々が生きるためには農産物の生産も必要です。試しに、人口1万人未満の地方都市を訪ねてみてください。それが未来の日本の姿です(卸友・他, 2020)。

もう分かりますね。大人たちに任せるのではなく、若い世代の皆さんが新しいアイデアで、今から手を打つしか無いのです。


私は2017年から台湾政府や大学とともに、台湾の地方創生を手伝っています。台湾も深刻な少子高齢化を迎えていて、地方の衰退が日本よりも深刻です。写真は去年訪れた高雄のバナナ農家。バナナをどうリブランドするか?に取り組んでいます。

とはいえ、今の大人たちは人口減少問題をどう考えているのでしょうか。それが「地方創生」です。

地方創生とは、第2次安倍内閣が始めた「第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略」というものに基づいています。

端的に言えば、「東京への一極集中を是正する」ということです。

詳しい説明は省きますが、東京都の出生率が全国的に低いため、東京に人が集まりすぎると、人口を維持するための「結婚・出産・子育て」の流れがうまれにくくなる、そう政府は考えています。

事実、コロナ渦で多少の変化はありますが、東京の人口吸引力は依然として高いです。

でもじつは、都市に人口が集中するのは、地方創生の問題だけではないのです。次回は、世界的な都市問題をSDGsの視点から読み解いていきたいと思います。

(千葉大学大学院国際学術研究院 助教 田島翔太)


参考文献

御友重希・横田浩一・原琴乃 (2020), SDGsの本質:企業家と金融によるサステナビリティの追求, 中央経済社

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