SDGsカフェ ~Civic Tech と誰も取り残さない情報アクセス~
- 本澤 鈴香
- 2020年11月25日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年12月2日
*Civic Tech:市民自身が、テクノロジーを活用して、行政サービスの問題や社会課題を解決する取り組み

今回のSDGsカフェでは、選挙で、候補者の政策などをもっとわかりやすく、簡単に知ることはできないかということを発端に、誰も取り残さない情報アクセスについて、話し合いました。
まず、認定NPO法人フローレンスの須田麻佑子さんに登壇していただきました。

須田さんは、金沢市議選に立候補した候補者本人が発信しているSNSやブログなどをリストアップして「市議会議員候補者のHP・SNSまとめ」という記事をブログにアップしました。須田さんは、候補者43人分もあるから、まとめるのには相当時間がかかると覚悟して取り掛かりましたが、作業は短時間で終わったそうです。HPやSNSを何もしていない、あるいは、あっても前回の当選のお礼で更新が終わっている人・・・など、機能していない候補者が多く、その状況に驚いたそうです。「これを許しているのは市民なのではないか?」と須田さんは言い、自分たちの意思を反映しているか否かを、投票によって意思表示をするのが選挙なのに、それを判断する情報が得られない(得られにくい)ことは問題だと述べました。
情報アクセシビリティ(利用しやすさ)に問題があるから、「争点がわからない」、「自分たちには関係ない」、「自分の1票で変わる気がしない」などと、いろいろな感情が重なって、それが投票率の低さにつながっているのではないかとも。
2030年の金沢のIMAGINE(金沢はどうあってほしいか)、「テクノロジー(情報技術)の恩恵をすべての市民が受けられる」、「テクノロジーからアウトリーチ(出前・出張サービス)の仕組みづくりができる」、「社会課題解決のための資源を供給しあう」を実現するためにその答えをいろいろと持っているエキスパートの福島健一郎さんと、堤敦朗さんからもプレゼンテーションを行っていただきました。
まず、福島さんからは、テクノロジーを使い、選挙などに関する情報のアクセスの方法として、現状どのようなものがあるのか、国内外の具体的な事例を紹介してくださいました。
代表的な2例をここでも紹介します。
ラポールジャパン http://rapportjapan.info
政治資金がどう使われているかを可視化しているサイト。
国会議員が、議会でどんな発言をしたかがまとめられている
このように、一人一人の国会議員が普段どんな政治活動をしているのかはネット上で見られる環境になってきています。オープンデータとして議事録が公開されていれば、地方でもこれを実現することは可能だと言います。
次に、堤さんからは、高齢者や目の見えない人、耳が聞こえない人のことも考えた情報アクセシビリティについてお話ししていただきました。

今まで、災害が起これば、人間生活にとって最低限かつ基本的に必要とされるものさえ満たされれば良かったが、今は、生き方とか人間の尊厳とか、人権的側面からも考えなくてはいけません。アクセシビリティというのも非常に重要な人権です。東日本大震災で障がいのある方の死亡率は2倍、多いところで4倍でした。何故ならば、情報が行き届かなかったからです。情報というのは出せばみんながアクセスできるわけではありません。「情報を欲している人がいかにそこに簡単にアクセスできるのか? その配慮をしなければ情報を出す価値はほとんどない」と、堤さんは言います。
アクセシビリティというのは、そこにあればいいというのではなく、必要な人がそこにアクセスできるルートを確保し、その方法を明示していなければなりません。誰も取り残さないためには、誰もがその情報にアクセスできるようにしなければいけないのです。
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